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虚呂路

虚呂路

                          やたらと自己分析に耽っていた頃。 今にして思えば、あれは『分析』と同時に『構築』でもあり、きっとあれこそが己の酷く短い思春期だったのだと気付いた今日この頃。
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思い返すと、今年はあまり本を読まなかったように思う。
上半期においては色々と慣れないことがあって忙殺されていたし、
夏に入ってからはTRPG方面や積みゲームの消化に追われていた。
有意義な過ごし方ばかりをしたとは口が裂けても言えないが、
それなりには中弛みのない、ある意味では充実した日々だと思わないでもない。
けれども、何をしていてもどこか落ち着かない感覚はあった。
頭の中でがなり立てるのは、何かが欠けているような物足りなさ。
陽炎に向けて伸ばした手が、虚空を掴むような空虚感。
形の見えない焦燥感を呼び水に、名状しがたい衝動が喚き散らす。
読書のみが趣味とは言わない。だが、結局のところ、
私は活字を読まねば落ち着かない程度には中毒者ということらしい。

そんなわけで、離脱症状が末期の様相を呈しつつあると自覚したので、
夏休みが終わるや否や、早速大学への道程にある書店に駆け込んだ。
地元はラノベを殆ど置いていないような小さな書店ばかり。
むしろ小説自体が少なく、漫画が七~九割を占めているような領域。
休暇中は気軽に本を買うにも困る環境はどうにかしたい。
ともかく、ライトノベル系レーベルの棚を前にして、新刊を吟味する。
数ヶ月の時間を挟んで、購読しているシリーズの最新刊が出ていたが、
それ以外に興味を惹かれるタイトルは、あまり見当たらない。
最近に限ったことではなく、暫く前から新作を購入することは滅多に無い。
私は直感で本を手に取る乱読型であり、新作をふと手に取ることもある。
だが、あらすじを読むと興が削がれてしまい、大半は書棚に戻してしまうのだ。
多少の飽きが来てるのだろうかな。
けれど、古本屋では既に絶版になっているような小説に惹かれることは多い。
むしろ新刊より、昔の小説を買う方が多いくらいだ。
もっとも、興味を惹かれることと、実際に面白いかどうかは別の話である。
まあ古書の場合、期待外れでも懐には優しいという利点はあるが。

古書といえば、以前の私は古本を買うことを忌避していた。
私は書籍という形態そのものに価値を認めており、その扱いには慎重になる。
どこかが折れ曲がったりした日には、三日は鬱状態に陥る程度には愛している。
カバーは一枚30分近くもかけて、歪みの無いように計算して折ったりもする。
だから古書店に並べられているような、お世辞にも保存状態がいいとは言えない、
傷んだ書籍を買うことは極力避け、絶版本を買うときにのみ利用するだけだった。
だが、いまは違う。どんなに私が大切にしてても、傷むものは傷んでしまうのだ。
だいたい、最初の状態が酷いというだけで遠ざけてしまうのは、本に失礼だろう。
最初の状態から、それ以上酷くならないように私が気を配ればいい。
折れ曲がりの跡や何かをこぼした跡などは、流石に限界があるが、
得体の知れない付着物くらいなら落とせるし、カバーの汚れも問題は無い。
剥がれかたの悪い値段シールも、綺麗に剥がすスプレーが手元にはある。
最初の状態に拘りすぎるようじゃ、本を愛してるなんて言ってられない。
出来る限りメンテナンスして、良い状態を保つ努力が必要なのだ!

………………、
それはともかくとして、行きつけの古書店で目を惹かれる古本も多くはない。
しかし、新刊で購買意欲を掻き立てられるものも見当たらない。
これは困った。どうしたものかと悩んだのだが、はたと気付いた。
何故にラノベに拘っているのだろう。一般レーベルの小説でもいいじゃないか。
そういえば、以前は買いたいラノベが沢山あったことから、
一般書籍は図書館で借りるという手段を用いていたという経緯がある。
だが、あまりに読書にのめりこみすぎたため、両親から禁止令が下されてしまい、
ますます一般向けレーベルの書籍からは遠ざかっていたのだった。
けれど、今でも新聞の新刊広告や書評には余さず目を通しており、
気になったものについては切り抜いてスクラップにしている。
ラノベから気持ちが離れたのは、見方を変えればともすれば、
一般書籍の遅れを取り戻す好機なのではあるまいか。
惹かれていたあの書籍が、もしかしたら文庫化されていたりして……。
これは気になる。いてもたってもいられないではないか。
すぐさま駆け込んだ一般向けレーベルは、期待していた以上の光景だった。
見覚えのあるタイトルもあるし、初見だが気になるものも盛りだくさん。
思わず拳を握った。これならまだまだ戦える。活字最高。
かくして、懐の冷たさを引き換えにして、一人の活字中毒者は救われた。


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